業務紹介-DX推進:神戸大学附属図書館 下村さん

下村さんの写真をもとにしたイラスト
ご本人のお写真をもとにAIをつかって作成

Q1.現在、どのようなお仕事をされているのですか?

私は現在、整備担当専門職員として、神戸大学に9つある分館の所蔵資料をより合理的に整備する業務を担当しています。具体的には、電子版の所在調査や学内の重複資料の確認を行い、廃棄の提案をしたり、共同利用書庫1への移管計画を立てたりしています。こうした取り組みは以前から構想として存在していましたが、2024年に自然科学系図書館の改修が完了し、新たに共同利用書庫が設置されたことを契機に、本格的に動き始めました。扱うデータ量は膨大で、人力だけでの調査には限界があります。折よくAIが発展し、私たち一般の職員でも活用できる選択肢が大幅に広がったことは、業務を進めるうえで非常に大きな助けとなっています。
また、WG活動2では書庫環境の調査や将来構想の立案にも携わっています。特に書庫環境の調査では、図書館では一般的ではなかったATP測定3など、新しいカビ関連の調査手法にも取り組んでいます。将来構想については、AIの発展が目まぐるしく、あらゆるものがDXと結び付けられる風潮の中で、現実的で説得力のある計画にするためにはどうすべきか、日々頭をひねりながら検討を重ねています。

Q2.神戸大学附属図書館に連絡手段としてMicrosoft Teamsを導入されたとうかがいました。導入の経緯などを教えてください!

下村:
今の自分のポジションとは、実はあまり関係ないんです。現在の係の前にシステム担当にいて、その時からメールや学内のグループウェアなど連絡手段が乱立していました。学内でも情報の取り扱いに関するより厳密なルール策定などがあり、「これは何とかせなあかんな」と思っていたんです。ちょうどそのタイミングで異動になりましたが、「システム担当じゃないとやったらあかん、ってことはないよな」と思って進めました。

下村:
そういうことですね。必要に迫られてということが半分くらいでしょうか。

Q3.導入にあたって一番大変だったことは?

下村:
みんなに使い方を覚えてもらうのはやっぱり…。覚えてしまえば便利ですが、みんながみんな新しいものに対する免疫があるわけではないので。「みんなが使うものだから、みんながわかっていないと成り立たない」と思っているので、そこを丁寧にするというか、どうやって説明したらわかってもらえるのかというのはすごく時間をかけて考えたところではあります。
実際、職員の全員に時間を取ってもらって説明を行いました。その事前準備にはかなり気を使いました。それでもまだ伝わりきっていないと感じる部分はありますが、最低限のメッセージのやり取りぐらいは皆さんできるようになっていると思います。

下村:
「やってくれ」というような雰囲気で、特に反対されることはありませんでした。そうした周囲の反応に後押しされたところもあります。

Q4.Teamsを導入して以降、良かったことや課題などはありますか?

下村:
やって良かったなと思うのは、神戸大学の図書館は9つの分館があって、縦割りというか、よその係や別の館で何が起こっているのかというのがわからない部分があって。「気づいたらこんなイベントをやっていた」ということも少なくなかったのですが、Teamsにしたことで、全体の動きが把握しやすくなりました。少なくとも、調べれば情報が出てくる状態にはなっているので、縦割りの解消という意味では良かったのかなと思っています。
反面、課題だと感じているのは、情報が多くなりすぎている点です。いわば情報の洪水みたいになっている部分があり、人によっては負担になっており、その点は申し訳ないなと感じています。

下村:
まあ、なんとなくわかりますよね。

下村:
係ごとにチャネルを分けていて、他の係のチャネルも、見たかったら見ていいよ、という感じで運用しています。ただ、本当に内密なことについては、その係の人しか見られないチャネルやチャットを使うようにしています。

Q5.共同利用書庫の移管計画の策定にあたって、AIなどの技術が活用されていると伺いました。実際には、どのような形で活用されているのでしょうか。

下村:
断然プログラミングをしてもらうことが多いですね。調べものを頼むこともありますが、情報の正確さという点では注意が必要だと感じています。その点、プログラミングに関しては、もう歯が立たないというか、もう使わない手はない。僕らの仕事は、基本的にパソコンを操作する作業が多いですから。

下村:
パソコンを操作するということは、プログラミングができれば楽になるんですね。そういうこともあって、AIが普及する前から、プログラミングの基本的な考え方は勉強していました。そこにAIが出てきて、試しにやらせてみたら、人間では歯が立たないというか、「すごいな」という感じでした。

下村:
そうです。例えば、「今こういうExcelのデータがあって、これをこういう形に加工したいので、それを実現するコードを書いてください」と伝えると、一気にコードを出してくれます。
もちろん、一度でうまくいくことばかりではありませんが、「こんなエラーが出たんですけど」と言ったら、その内容を踏まえてコードを修正してくれる。それを繰り返しているうちに、だんだん完成していく、という感じですね。

下村:
共同利用書庫のことでいうと、学内の雑誌を巻号単位で見て、重複を確認する作業があるんですが、あれを目で見てやるのはもう不可能に近いですよね。だからプログラミングをするわけなんですけど、条件がややこしくて、館ごとの違いや、目録や所蔵が作られた時代によって微妙に書き⽅が違っていることもあり、それらを標準化した上で突き合わせる必要があります。それを日本語でまとめて、「これはこういうことなんで、こういうふうに変換するコードを書いてください」とAIに言えば、すごく正確に早くやってくれる。AIが出てくる前だったら、たぶん諦めていたと思います。本当にいいタイミングでした。

下村:
本当に今までだと考えられなかったような。

下村:
プログラミングについてまったく知らないよりは、ある程度雰囲気が分かっていたほうが、AIもうまく使えるようになるとは思います。でも、まずは全員に試してもらいたいなと思っています。

下村:
AIを含めたDXみたいなことは基本的にはすごく前向きな話だと思っているので、常にそういう視点を持って考えていきたいなと思っています。

Q6.他にもAIを活用されていることはありますか?

下村:
英訳にも使っています。英文科出身なのですが、ホームページの英訳をAIにしてもらったものを見ても、ツッコミどころはほぼ見つからないです。

下村:
自分のスキルにこだわって、AIを使わないのはちょっと本末転倒だと感じるレベルだと個人的には思っています。ネイティブチェックとかに比べるといろいろと粗はあるとは思いますが。

下村:
そうですね。ああいうのを作るときも絶対AIに聞いてますね。

下村:
いろいろなパターンがあって、「これはこうしたほうがいいんちゃうかな」と自分で考えて動くこともあります。でもどちらかというと、誰かが困っていそうだな、というのをくみ取ることのほうが多いかもしれないですね。

下村:
Teamsには、使っていく中で「ここがもう少し足りないな」と感じる部分もあります。
そうした点については、Microsoftの、業務用アプリを作るためのアプリやPower Automate等を使いながら、少しでも便利になるよう考えたりしています。

Q7.大学図書館で働くことを選んだきっかけは何ですか?

下村:
きっかけとはっきり言えるようなものはないのですが、大学院を出てから2年ほど民間企業で働くうちに、自然に気持ちがそちらに傾いていった感じです。消極的な理由かもしれないんですけど、「あと40年もこれをやるのか」と思ったんです。「他の選択肢も、早いうちに考えておいたほうがいいんじゃないか」「これが30代、40代だったら、そのまま流されてしまう気がするな」と感じ、20代後半のタイミングでキャリアを考え直しました。
民間企業に転職するというよりは、公務員かなと思っていて、どうせ公務員になるなら、本を読んだり図書館が好きだったので、そっちを目指してみようかな、という感じでした。
みんながおっしゃるような学術情報が云々とかそんなのは全然なくて、本当に「図書館ってなんか良さそうやな」というぼんやりした動機だったと思います。

Q8.大学図書館で働いてみて、働く前のイメージと違うな、と感じたことはありましたか?

下村:
そもそも私が一番最初に配属されたのがシステム担当だったので、もう全く違いますよね。カウンターに座って何かするのかなと思ってたら、システム担当で。それはもう全然違いました。
ただ、改めて考えてみると、図書館にもこうした仕事があるのは当然だな、と今では思っています。

下村:
さかのぼると、Teamsの話もそこにつながっている気がしますし、図書館の中で「システム担当の人」という自己認識ができたのも、そこでできたのかなと思います。最初にシステム担当だったときは、「図書館に就職したのに」と思っていたんですけど、今では最初の配置としてはベストだったのかもしれないと思っています。

Q9.前職での経験が活きていると感じる点があれば教えてください!

下村:
前職では会社の経理を担当しており、細々した作業が多かったんですよね。その当時の職場では、詳しい人がお手製でいろいろアプリを作っていて。「できるだけ楽しよう」とか、「お手製で作れるものは作ったらいいやん」というような考え方はそこからきているのかなと思いますね。

下村:
会計の知識がそのまま役に立つ場面はあまり多くありませんが、「仕事はできるだけ楽にしよう」という哲学みたいなことはその時に教えてもらったのかなと思っています。

Q10.今後やってみたいと思われている業務はありますか?

下村:
目録業務4はほとんどやったことがないので、いつかやってみたいなと思っています。サービス業務についても、ほとんど経験がありません。

下村:
一応、サービス係には3年間在籍していたのですが、どちらかというと一過性の関わりになってしまいました。管理系の人みたいな感じになっているので、チャンスがあればそっちの方もまたやりたいなと思っています。
目録はDXとも関わる分野で、一番相性がいいなと感じているところです。そこでいろいろ試すことができたらいいなと思っています。
サービスに関しては、神戸大学の図書館は9館あって、それぞれ細かい違いがあるので、「もうちょっとどうにかできへんのかな」と思う部分もあり、そのあたりについても考えられたらと思っています。わかりやすく改善できる余地が多く残されているように感じており、そういう意味で目録とかサービスに取り組んでみたいです。

Q11.これから大学図書館に入ってくる人に対して、アドバイスなどお願いします!

下村:
日々の業務では、パソコンを使う時間がかなり多くなります。そのため、パソコンのスキルというのは残業時間にダイレクトに関わってくるので、パソコンを恐れないでください。IT系の技術や知識はこれからもどんどん進歩していきますし、抵抗がなくなれば、残業時間削減だけではなく、挑戦できることや貢献できることも広がって行くと思います。

  1. 神戸大学附属図書館全体で体系的な資料整備と保存を行うために設置された書庫。学内複数図書館での重複状況や全国での所蔵状況、電子版の公開状況等を踏まえ、移管する資料を選定することにより、各館の限られたスペースを有効活用するとともに、利用価値の高い資料を保存している。 ↩︎
  2. 神戸大学附属図書館では、全館的な取り組みや課題解決のために組織横断的なワーキンググループ(WG)があり、活動しています。 ↩︎
  3. ATP(アデノシン三リン酸)は細菌やカビなどを含むすべての生物が持っている物質。試薬に反応して蛍光を発することを利用し、その強弱からカビの活性や量を推察する測定法。
    “文化財収蔵施設・文書館等におけるカビの制御ーカビ被害の予防と発見ー”東京文化財研究所. 2017-03(参照2026-03-05) ↩︎
  4. 利用者が図書館の所蔵資料を見つけることができるように、資料に関するデータを整備する業務。 ↩︎
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